
相場戦略研究所
証券税制の改正方針
自民党税調:長期保有株式の100万円特別控除を廃止−来年度税制改正 (ブルームバーグ)
2002年12月11日(水)7時34分
東京 12月11日(ブルームバーグ):自民党税制調査会(相沢英之会長)は10日、来年度税制改正の証券税制見直しで、今後5年間に株式を売却した場合に株式所得課税を一律10%に引き下げる優遇措置を導入することを受け、昨年10月から時限措置として実施している長期保有株式の100万円特別控除を廃止する方針を固めた。宮下創平小委員長や相沢会長が記者団に明らかにした。
党税調は、来年1月から株式譲渡益課税が申告分離課税に1本化され、税率も現行の26%から20%に引き下げられるのに合わせて、配当課税(最高50%の原則総合課税)も20%に引き下げ、株式投資信託分配金(20%)にかかる税率を含めた株式所得課税の税率を一律20%とし、源泉徴収だけで済む申告不要な制度に簡素化することですでに合意している。
そのうえで、株式譲渡益課税の見直しに合わせて導入を予定していた長期保有株式に対する10%の暫定税率(2005年度まで)に代わって、保有期間にかかわらず上場株式を今後5年間に売却した場合に、株式所得課税の税率を一律10%に引き下げる優遇措置を盛り込む。また、株式投資信託の償還(解約)損と株式譲渡益との通算を認める方向で調整している。
このほか、特定口座の改善・簡素化による「みなし源泉分離」から「実額源泉分離課税」の実現を掲げ、
1)年間分一括納付方式への変更による源泉徴収方式の改善、
2)地方税の「源泉徴収」制度の導入、
3)自己保管上場株式(タンス株)の特定口座への受け入れ−−なども改正項目として盛り込んでいる。
東京 下土井 京子 Kyoko Shimodoi
自民税調が税制改正大枠、発泡酒・ワイン増税も−与党調整難航か(2) (ブルームバーグ)
2002年12月10日(火)8時1分
(証券税制の改正方針)
東京 12月10日(ブルームバーグ):自民党税制調査会(相沢英之会長)は9日、自民党本部で幹部会を開き、来年度税正改正大綱の大枠を固めた。1兆円程度の研究開発・投資減税や株式所得課税の税率引き下げなど計約2兆円の減税を行う一方で、所得税の控除見直しやたばこ・発泡酒の税率引き上げ、外形標準課税の導入を実施。先行減税規模は約1兆5000億円程度になる見込み。相沢会長らが記者団に明らかにした。
一方で、所得税の控除見直しによる課税最低限の引き下げには公明党が難色を示しているほか、発泡酒増税や法人事業税(地方税)の外形標準課税については自民党内や経済界からの反発も強い。自民党税調はこれらの方針を10日に予定している小委員会や与党税制協議会に提示し、13日までに大綱をまとめる予定 だが、ぎりぎりまで調整が難航する可能性がある。
株式所得課税は5年間10%に引き下げへ
証券税制では、来年1月から株式譲渡益課税が申告分離課税に1本化され、税率も現行の26%から20%に引き下げられる。これに合わせて配当課税(最高50%の原則総合課税)も20%に引き下げ、株式投資信託分配金にかかる税率も含めた株式所得課税の税率を一律20%にそろえる。そのうえで、5年間に株式を売却した場合に、これらの税率を一律10%に引き下げる 方向で調整する。
優遇措置については株式譲渡益課税の見直しに合わせて2005年度までに売却した長期保有上場株式を対象に税率を10%引き下げる措置がすでに盛り込まれている。今回の税制改正では、短期保有株式も対象に含めたうえで、優遇期間をさらに2年間延長することになる。金融庁では当初10年間を要望していたが、「優遇措置にしては長過ぎる」(相沢会長)との判断から期間を短縮した。
来年3月発行予定の個人向け新型国債の販売を推進するために財務省が要望していた利子所得に対する非課税措置は、「今後検討すべき課題」として来年度税制改正では見送りとなった。不良債権処理加速に関連して金融再生プログラムに盛り込まれた引当金に関する新たな無税償却制度の導入はじめ、繰戻還付金制度の凍結措置解除、欠損金の繰越控除期間の延長検討の3項目も結論を持ち越す。
新たな研究開発制度を創設
経済活性化税制では、過去の試験研究費と比べた増加分だけを税額控除の対象とする現行の研究開発税制に代わって、研究開発支出の総額の10%を法人税額から控除できる恒久的な制度を創設する。研究開発費の比率が高い企業や中小企業に対しては控除の比率をさらに高めるインセンティブをつける方針だ。
投資減税については対象を情報技術(IT)に限定したうえで、投資額の一定割合を法人税額から差し引くことができる税額控除と、通常の減価償却に一定割合を上乗せする特別償却を選択できる時限措置とする。経済財政諮問会議の民間議員らが提案している法人税率の引き下げは先送りを決めた。
土地の流動化を進めるための土地税制の見直しでは、不動産売買に伴う所有権の移転登記などにかかる登録免許税と不動産購入時にかかる不動産取得税(地方税)を「思い切って軽減する」(宮下小委長)方針だ。一方で、固定資産税(地方税)の軽減については「住民税に並ぶ都道府県の基幹税で軽減は困難」(同)と判断した。
相続・贈与税は資産の世代間移転を円滑化するために一本化するなど大幅に見直すことで生前贈与の税負担を軽減。贈与税の非課税枠(現行550万円)を2000万円に引き上げるほか、住宅取得時の非課税枠はさらに3000万円まで引き上げる方向で検討する。また、財務省では相続税の最高税率を現行の70%から50%に引き下げたうえで基礎控除(非課税枠)の縮小を検討している。
外形標準課税は中小企業を対象外に
難題は増税項目だ。外形標準課税は、資本金が1億円を超える大企業に限って導入する見通し。赤字法人も対象になることから不況下の中小企業への影響を懸念する声が強く、中小企業は対象から除外する。一方で、資本金額や給与額などを課税基準にすることで、自己資本強化を進めている金融機関や人件費の占める割合が高い流通関連企業への大幅な負担増も避けられない。
党税調では、資本金などの金額をベースにした「資本割」を課税基準から外すことも含めて業種間の不平等感をなくす方向で微調整を進める。また、総務省では、大法人に対して、2004年度から段階的に外形標準課税を導入し、5年後の2007年度に本格導入する案をすでに提示しており、導入時期についてもあらためて検討する。
発泡酒だけでなくワインも増税へ
発泡酒の税率引き上げは、10種類に分かれている酒類間の税率格差を見直すなかで税率引き上げを検討する方針だ。これによって清酒とワインの税率格差も是正する。ビールの税額350ミリリットル当たり77.70円に対し、発泡酒は同36.75円。同じく清酒の税額720ミリリットル当たり80.92円に対し、ワインは同40.68円で、いずれも約40円の価格差がある。
特に、ビール・発泡酒間では、ビールの税率を引き下げた場合に大幅な税収減につながることから、党税調はビール減税に消極的。発泡酒の税率を引き上げる方向で調整を進めているが、昨年末の税制改正議論でも、自民党内はじめ公明党から「大衆課税になる」との批判が上がり、増税が見送られた経緯があることから今回も決着まで難航しそうだ。
発泡酒とともに先行減税分を穴埋めする財源として期待がかかるたばこ増税は避けられない見通しだ。たばこ増税には塩川正十郎財務相も前向きな姿勢を示しており、来5月にも税率を引き上げる構えだ。たばこ1箱(20本入り)にかかっている国・地方の税金は141.44円で、1本当たりに換算すると7.027円になる。党税調では、1本当たり2円程度を軸に増税幅を検討する。
所得税の課税最低限引き下げに公明党が難色
所得税の人的控除の見直しでは配偶者特別控除の割り増し分と特定扶養控除を原則廃止にする方針を打ち出した。塩川財務相も2004年1月に実施する方針を表明しているが、公明党は現在控除を受けている世帯への負担増になると強く反発。廃止の前提として児童手当の拡充を求めている。これに対し、財務省はこれ以上の増額は困難と難色を示しており、曲折が予想される。
配偶者特別控除は、年間所得1000万円以下の納税者を対象に、妻の年収が103万円以下の場合、通常の配偶者控除(年間38万円)に最高38万円を上乗せして夫の課税所得から差し引かれる制度で、「過度な配慮」との指摘がある。特定扶養控除は16歳以上23歳未満の子を持つ親の負担軽減のため、通常の扶養控除(38万円)に25万円を上乗せする制度。
消費税の益税対策については与党間でほぼ合意した。年間売上高3000万円以下の中小事業者を対象に消費税の義務が免除される事業者免税点制度の適用上限を1000万円に引き下げる。売り上げにかかる消費税額に業種別のみなし仕入れ率を適用し、仕入れに掛かる消費税額の計算を簡素化できる簡易課税制度では、対象事業者の売上高を現行の年間2億円以下から3000万円以下に縮小する。
東京 下土井 京子 Kyoko Shimodoi
