

相場戦略研究所
渡辺幹夫の「アノマリー研究 3月に買い5月に売る」 14.2.21
「株式相場の季節性の点から、買い場が近いのではないか」ということをお知らせするのが、今回の趣旨である。アノマリー重視派にとって、楽しみなシーズンの到来である。このコーナーは1997年7月にスタートし、以来、何回か「3月に買い5月に売る」という戦略を紹介している。「またか?」と思う当コーナーの読者もいるかもしれないが、これはこれで重要なアノマリーなので、今年も紹介したい。
日本株の投資家にとって、「4月」という月は極めて興味深いチャンス月である。1年12ヶ月の中で、4月は最も株が上昇しやすいアノマリーが存在するからだ。そしてこのアノマリーの発生を妨げる理由は、現在のところ見当たらない。
まずデータを示そう。1987年から1999年まで、延べ13年間の4月陽線回数は9回、率にして75%と非常に高い。またバブル崩壊以後のボックス相場だけをとればこの傾向はもっと顕著である。1993年から1999年の延べ7年間の4月陽線回数は6回。率にすると83%である(月間変動が200円に満たないケースは除く)。そしてどちらの期間の統計においても、1年12ヶ月の中で、「4月」は上昇発生率が第一位なのだ。
アノマリーの発生理由は、3月と4月を跨いでの、企業の決算月に絡んだ株式需給の変化に起因する部分が大きい。国内の株式市場では、例年3月は売り物が嵩み需給悪状態となるが、4月は3月とは逆に買いニーズが発生、需給が様変わりに好転するパターンが繰り返されている。
この点は拙著「ファンドマネージャーの株式運用戦略」で詳しく書いているが、機関投資家、及び金融機関等の売買行動による影響の部分が大きい。
機関投資家&金融機関は本決算月である3月にかけ、ポジション調整や益出しなどの売りを先行させるのが常であるし、昨今ではこの時期、持ち合い解消の売りも高水準となる(但し厳密に言えば、持合解消売りが最も嵩むのが2月、その次が8月であることが多い。
それぞれ、本決算月、中間決算月の1月前というイメージ)。しかしながらこれが4月になると、決算に絡んだ売りが一巡する一方、機関投資家は4月スタートの新規ファンドの運用を開始する。持ち合い解消に伴う売り圧力についても、決算月が終われば、とりあえずは一段落する。(但し持ち合い解消が終了したという意味ではなく、あくまでも一段落ではあるが)
さて、前段で1987年から1999年までと、1993年から1999年までの期間を比較しているのは、
@それぞれの時点の日経平均のレベルが16,000円前後と近似している
A株式市場で機関投資家の存在感が高まってきたのは、いわゆる特金、ファントラ運用が活発化した、1980年代半ばからである…・からだ。それでは機関投資家が登場する時代以前はどうだったのだろうか?
今回、より長い期間の統計を取ってみたが、やはり4月高アノマリーの存在を、概ね確認することが出来た。図は、戦後、東証の取引再開以降の日経平均月足アノマリー分析表である。
1949年5月から2002年1月までの期間について、日経平均の上昇が多く発生している月の順に並べている。戦後、東証の取引再開以後の日経平均は、200ポイント以下である。ちなみに、同期間の上昇月の平均発生確率は57.45%。思ったほど高くはない。データを見ると、機関投資家がまだ誕生していない時代を含めても、4月高アノマリーは存在していたと考えてよさそうだ(1月の上昇発生確率の高さには意外感があったが…)。
古い相場格言に、「鯉のぼりの季節を過ぎたら株は売り」というものがあるという。相場師の知恵といえようか、昔の相場師はアノマリーという言葉がない時代から、経験的に4月高の傾向を活かしていたのかもしれない。
東証取引再開以降の日経平均月足アノマリー分析表
(1949年5月〜2002年1月) 月 標本数 上昇した月数 上昇率
1月 53 40 75.47%
4月 52 36 69.23%
6月 53 34 64.15%
3月 52 31 59.62%
8月 52 30 57.69%
12月 53 30 56.60%
10月 53 29 54.72%
11月 53 29 54.72%
2月 52 28 53.85%
7月 53 28 52.83%
5月 53 25 47.17%
9月 53 23 43.40%
平均上昇月発生率 57.45%
(数値の出所:週間CHART BOOK 週足集)
行動指針:5月ゴールデンウイーク空けに売ることを前提に、3月中に買い場さがし。銘柄的には投資家自身の相場観に委ねたい。
前回執筆時に、一部の方から「簡単に4月高というが、今年もそうなるとは限らないぞ」との趣旨のご意見をいただいた。
それはごもっとも。毎年必ず4月高が再現すれば、誰も苦労はしない。ここでは、過去の統計に照らし合わせた可能性という点からどうかということを言っているわけである。
「今年もそうなるとは限らない」と考えるアノマリー非重視派であるなら、ここで書いていることは無視していただいたほうが良い。
