相場戦略研究所


 「代行返上」により2兆〜2兆4000億円の売り越し 

12月27日(金)

引っ張りだこの年金資金。

 相場水準が下がると決まって買ってくると言われる公的年金ですが、その運用方針を決める社会保障審議会では、株式運用を止めるべきとする意見が強くなっているようです。どうなるか特殊法人改革の一環として来春頃に決まる予定となっています。

 いわゆる公的年金とは正式に「年金資金運用基金」のことで、総額は170兆円あります。そのうち5%を国内株式で運用する方針の為、今年度分として新規に1.7兆円が買いに回っているとされます。

 しかし、最近はその月平均買い越し額(約1400億円)以上に公的年金が買っているようです。アセット・アロケーション(資産配分)で日本株投資比率を5%と決めた以上、値下がりすれば比率を維持する為に買い増しするので、平均以上の買い越しが生じるのでしょう。9月以降毎月3000億円程度の買い越しになっているようです。

 この公的年金に2つの大きな問題があります。ひとつは株式運用自体を廃止するかどうかの問題です。「年金資金は安定的に運用すべきだ」というのが株式反対派の意見ですが、国債より配当利回りが良い日本株であれば長期運用なら値下がりリスクをあまり気にする必要がなく、素直に聞けない意見です。

 来年度予算では、赤字国債の新規発行は36兆円、既存の借換え債と合計発行額でおよそ112兆円が発行される予定です。「株式投資廃止論」は、国債が消化難になった場合、株式のように「最後の買い手」として年金に期待しているからではないかとの疑問が湧きます。つまり、年金資金は閉塞感のある金融市場の最後の担い手として、まさに、引っ張りだこの状態と言えるのではないでしょうか。

 また、株式投資推進派からすれば、年末の株価を上げておきたいと願うのも無理からぬことです。

 公的年金のもうひとつの問題は民間で一部代行運用している部分の「代行返上」の問題です。これは、株式部分がTOPIX型でなければ現物での返納を受け付けず、現金のみで返上する方針があり、来年中に約3兆円の売り要因と言われ、返上後の買い付け分を差し引いても2兆〜2兆4000億円の売り越しになるという問題です。

 その為に、今後、民間で運用している年金資金の換金売りに公的年金が買うという年金同士の売買が予想されます。3月にかけて、売られる株を公的年金が買い支えるという形が必然的に続きそうな気配です。この要因だけでも、中期的に上値が重く、低ボラティリティーの相場展開が予想されます。参加者の減少はそのあたりの事情を良く読んでいるとも言えそうです。(ゆらぎの世界)


 



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