
相場戦略研究所
個人金融資産の大半は「事業用の資金」
11月13日(水)ゆらぎの世界
当てに出来ない個人金融資産
今年5月高値の信用期日が迫っていますが、相変わらずの出来高不足です。半年前は、例えばNECや富士通は軒並み2倍以上の株価で大商いでしたので、信用期日を閑散かつ安値で迎えることは、しこっている投資家にとってたいへんなことになります。
東証一部は公的年金が買うこともあり、まだマシなほうで、東証2部は期日に伴う換金売りを板の無い中で執行する為、サイコロは1勝11敗という無残な状況です。例えば、2部のサンコー(6964)などは財務内容の優れた会社ですが、たった1000株の売りで10%近く下げ、年初来安値(上場来安値でもあります)を更新しています。
株価の下落も問題ですが流動性の低下はもっと問題です。その点で、証券会社や取引所など当事者の努力がここに至っても感じられないのは残念です。
信用買い方の個人投資家は期日もありますし、建て玉の評価損が25%程度あると推測され、追い詰められていますが、反対売買や換金するだけでもたいへんな銘柄があり、どうしようもない状態に置かれています。
話は変わりますが、シュリンクする日本経済にあって、良く言われるのが個人の金融資産が1400兆円もあるから大丈夫だという議論です。証券会社や銀行の管理職が営業にはっぱをかけるときにも良く使います。しかし、これは正確ではありません。
最も問題なのは個人の金融資産が1400兆あっても、その内の約700兆円は個人事業主や中小企業のオーナーが事業の運転資金や担保に使うなどの目的で置いている「事業用の資金」だということです。これが株式や投信などのリスクある金融商品に変わる可能性はほとんど無い性格のものです。
また、個人は住宅ローンなどの債務を400兆円近く抱えているとされますし、郵貯の資金は第三セクターなどに投融資され、戻る見込みが無い案件も多く、税金で補填するしか方法がありません。
実は、個人が自由に使える金融資産はせいぜい300兆円であり、それも、リスクを嫌う老齢者世帯に集中していることから考えて、市場関係者が当てにできるようなものではないということです。しかし、それを僅かでも呼び込むしか受け皿が無い状況であることも事実で、政策の手詰まりで個人の買い手が少ない状況はやはり問題と言うしかないでしょう。
投資家はポジションを空けて充分安くなるまで待つことが肝心なようです。
