

相場戦略研究所
配当減税で高利回り銘柄に注目
日本株:配当減税で高利回り銘柄に注目、個人刺激で相場の下支え (ブルームバーグ)
2002年12月16日(月)7時22分
東京 12月16日(ブルームバーグ):
自民、公明、保守の与党3党は13日、2003年度の税制改正大綱を決定した。増減税一体の基本方針のなか、先行的に実施される減税規模は2兆円超で、このなかには、低迷が長期化する証券市場活性化のため、株式譲渡益課税や配当課税の大幅軽減が盛り込まれた。
特に配当減税に関しては、国内外景気の不透明感から積極的な株価の値上がりが見込みにくいなかで、株式配当利回りは債券利回りや預貯金金利を上回っているだけに、個人の株式市場参加を刺激するものとして、その効果に期待感が高まっている。相場全般の下支え要因としても、高配当利回り銘柄が注目される可能性が出てきた。
税制改正大綱案では、来年1月から株式譲渡益課税が申告分離課税に一本化されるのに伴い、現行26%の株式譲渡益課税、最高50%の原則総合課税となっている配当課税、現行20%の株式投資信託分配金に対する課税を一律20%とする方針。
ただ、2007年末までの今後5年間については、時限措置として税率を10%に半減させる優遇措置を盛り込む方向だ。
東証1部全銘柄の予想配当利回りは、11日段階で1.43%。これは同日の10年物長期国債利回り1.01%を上回り、都市銀行のスーパー定期1年物金利の0.03%とは1%以上の格差がある。
エース証券の子幡健二専務は「証券税制改正案の内容が固まり、特に配当課税の軽減が行われることは、相当好感されている。米株市場が長期上昇トレンドのなかで、目先の過熱相場の調整に入っただけに、国内ハイテク株も高値調整をせざるを得ず、一方で配当利回り銘柄が買われ、相場全般のもみ合い要因になる」と指摘。
またウツミ屋証券の藤田勝義証券商品部長は、「配当課税が10%となることは、富裕投資家層にとって大きなメリット。最近、電力・ガス株や医薬品株、陸運株などディフェンシブ株が動いているのは、こうしたことを評価する先行的な動き」と分析する。
大和総研の調べによると、配当利回りの水準を基に東証1部銘柄を5段階に分類した後、最高位グループと最低位グループのパフォーマンスを比較した場合、配当落ち調整を行った高利回り株指数は、株式市場が最高値をつけた1989年末を100として、今年の11月末時点では94.4と下げ幅は極めて小幅だった。
一方、低利回り株指数は11月末時点で26.8まで落ち込んでおり、パフォーマンス格差は歴然である。 この結果、高利回り株指数は年率換算で1.9%の配当収入によるインカムゲインがあった計算になり、一方の低利回り株指数のインカムゲインは0.5%程度にとどまっている。株価の値上がりによるキャピタルゲインを含む総合リターンでみた場合、両指数間には目立った格差はみられず、インカムゲインの大きさが投資リターンの明暗を分ける要因になった。
大和総研の三宅一弘チーフストラテジストは「超低金利の持続と、デフレ環境の継続を想定すると、高い配当利回りを提供できる企業が相対的に魅力度を増す」と強調。ドイツ証券の武者陵司チーフストラテジストは、2003年の株式市場展望のなかで、日本は緩やかなデフレのなかで経済が安定する「デフレ均衡」の状態になると予想したうえで、「デフレ均衡は企業収益が安定していること、期待収益率が低下していることから株価にはプラス。ゼロの預金金利、1%の10年国債利回りと比べ、配当利回り1.2%、益回り3.0%の日本株式の魅力が高まろう」とみている。
別表は、大和総研がまとめたインカムゲインが高い実績のある銘柄群。条件は時価総額300億円以上の全上場銘柄で、99年11月末から2002年11月末までの3年間のデータをベースに算出されている。配当利回り株に注目度が高まり始めただけに、こうした銘柄群が物色の対象となる可能性はあろう。
【インカムゲインが高い実績のある銘柄群】(※大和総研資料から抽出)、データは11月末現在】銘柄名(コード) インカムゲイン年率 予想配当利回り
ケンタッキー(9873) 9.7% 7.4%東燃ゼネラル石油(5012) 5.9% 4.5%
三陽商会(8011) 4.2% 2.0%トキコ(7232) 3.8% 2.4%
東
北電力(9506) 3.8% 3.0%北海道電力(9509) 3.7% 3.2%
ニ
プロ(8086) 3.6% 2.7%九州電力(9508) 3.5% 3.6%
マル
エツ(8178) 3.5% 2.1%中国電力(9504) 3.4% 2.9%
富士火
災海上保険(8763) 3.4% 3.2%四国電力(9507) 3.4% 2.9%
東亞
合成(4045) 3.3% 2.0%北陸電力(9505) 3.3% 3.3%
日本電設工業(1950) 3.2% 2.2%トピー工業(7231) 3.2% 2.8%
中部電力(9502) 3.1% 2.9%西部ガス(9536) 3.1% 2.6%
日立プラント建設(1970) 3.0% 3.9%カヤバ工業(7242) 3.0% 2.0%
東京 院去 信太郎 Shintaro Inkyo
